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海南省自由貿易港建設計画を発表、島内全域で「関税ゼロ」に
中国国務院は6月1日、「海南省自由貿易港建設全体方案」(以下、方案)を発表した。方案によると、2025年までに貿易・投資の自由化・円滑化を進め、自由貿易港としての初歩的な体制を構築する。2035年までにさらなる開放政策を展開し、高水準の自由貿易港の実現を目指す。習近平国家主席は2018年4月に、海南省に自由貿易試験区と自由貿易港を設立すると発表していた。
関税ゼロ、企業所得税を減免
海南自由貿易港では、島内全域で「関税ゼロ」とするなど、貿易の自由化を実現する計画だ。島内全域での運用開始に先駆け、一部の輸入商品に対しては先行的に輸入関税と輸入増値税、消費税(注1)を免除する。全面的運用開始後には簡易税制を実施し、輸入課税商品リスト以外の商品に対しても輸入関税を免除する。また、海南島居住者は免税商品の購入が可能となるほか、非居住者は海南島で年間上限額10万元(約150万円、1元=約15円)以内の免税商品の購入が可能となる。
また、域内企業に対する優遇税制も導入する。海南自由貿易港に登録し、実際に運営を行う奨励類(注2)に該当する企業に対し、企業所得税を軽減して15%とする(通常25%)。海南自由貿易港に設立された観光業、現代サービス業、ハイテク産業の企業が2025年までに新規の対外直接投資で得た所得については、企業所得税を免除する。企業の設備投資については、支出が発生した当期に一時的な税引き前控除または加速償却が可能となった。
(注1)中国での「消費税」は嗜好(しこう)品や奢侈(しゃし)品などを対象とし、工場出荷や輸入の時点で課税される。
(注2)海南自由貿易港で奨励類に分類される業種は現時点で発表されていない。